2歳馬の女王を決める阪神ジュベナイルフィリーズ・G1(13日、阪神・芝1600メートル)は、2番人気のアパパネ(蛯名)が内から鋭く伸びて優勝。マイル戦3連勝で頂点に立った。今年、関東馬が2歳重賞を制したのは初めて。生産者のノーザンファームは、このレース3連覇。2着も同ファームの生産馬アニメイトバイオが入り、1番人気のシンメイフジは5着に終わった。
縦に長かった馬群が、横に大きく広がった直線。アパパネの蛯名は、迷わずインに進路を取った。視界は一気に開け、白いシャドーロールが上下に動く。するすると先頭に立った時、もうライバルはいなかった。アニメイトバイオの追撃を余裕で振り切り、04年ショウナンパントル以来、関東から5年ぶりの2歳女王誕生だ。
コースレコードのおまけをつけ、2勝目を挙げた赤松賞だったが、行きたがる面を見せていた。大外(18番枠)で前に壁が作れるのか…。それも、杞憂(きゆう)に終わった。ゲート入りこそ手こずったが、好スタートを決めた人馬は、呼吸をぴたりと合わせた。「思いのほか、スムーズに折り合いがつき、いつでも動ける態勢ができた。これなら脚を使ってくれると思った」。蛯名は末脚を生かす理想的なレースで、07年有馬記念(マツリダゴッホ)以来のG1制覇を飾った。
国枝調教師といえば、“栗東留学”のパイオニアだ。アパパネも先輩たちと同じように、美浦から先月26日に移動した。「直前の長距離輸送や環境の変化など、不安要素を取り除きたかった。何度か挑戦し、何とかならないかと思っていたからうれしい」。過去4回参戦し、昨年はダノンベルベールで2着。壁を乗り越えて頂点に立ったとあって、感慨深げな表情を浮かべた。
母ソルティビッドも、現役時代に管理した。02年阪神JFは、同じ蛯名の手綱で17着に終わったが、3番目に誕生した女の子が、見事リベンジを果たした。「いい子が生まれ、走ってくれた。うれしいね。母は血統的にもスプリント色が強かったが、この子の父はキングカメハメハ(04年のダービー馬)」。指揮官は来春に期待を膨らませ、目尻を下げた。
この後はひと息入れてトライアルからスタートするが、再び栗東を“本拠”として桜花賞(4月11日、阪神)を目指す。「お母さんから受け継いだスピードを、うまくしまいに生かしている。無事に、ひとつひとつクリアしていってくれれば」と蛯名。大きな1勝を手にした“赤い鳥”が、来春へ向けて大きく羽ばたいていく。
[優勝馬メモ]
◆性齢 牝2歳の鹿毛。
◆血統 父キングカメハメハ、母ソルティビッド(父ソルトレイク)。父の産駒は重賞3勝目で、G1初勝利。
◆馬名の意味 ハワイに生息する、赤い鳥の名前。
◆戦績 4戦3勝。重賞初制覇。福島デビューの馬が優勝したのは初めて。
◆総収得賞金 優勝賞金6000万円を加え、7857万1000円。
◆関東馬 今年の2歳重賞は、すべて関西馬が優勝していたが、9レース目でようやくV。2着も美浦所属のアニメイトバイオで、G1での関東馬ワンツーは、07年ヴィクトリアマイル(1着コイウタ、2着アサヒライジング)以来。
◆蛯名正義騎手(40) 8回目の挑戦で初勝利。G1は、07年有馬記念(マツリダゴッホ)以来で14勝目。
◆国枝栄調教師(54) G1勝利は、今年の天皇賞・春(マイネルキッツ)以来で6勝目。過去のこのレースでの成績は、00年タカラサイレンス〈5〉着、02年ソルティビッド〈17〉着、06年ピンクカメオ〈8〉着、08年ダノンベルベール〈2〉着だった。
◆馬主 金子真人ホールディングス(株)。
◆生産者 北海道安平町のノーザンファーム。

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