◆第54回有馬記念・G1(27日、中山競馬場、芝2500メートル、良) 09年を締めくくる大一番は、直線で一気に末脚を伸ばしたドリームジャーニー(池添)が古馬の貫禄を見せて優勝。6月の宝塚記念に続き、史上9頭目の同一年春秋グランプリ制覇を果たした。横山典に手綱が替わった1番人気ブエナビスタは、半馬身差の2着。49年ぶりの3歳牝馬Vはならなかった。3着は昨年に続きエアシェイディが入った。
負けられない―。古馬のプライドが、男の意地が、ドリームジャーニーの背中を押した。大外から一気に馬群をのみ込むと、直線坂上からはブエナビスタとの一騎打ち。1番人気の3歳牝馬に照準を絞ると、さらに四肢の回転に力を込めた。前に出た。力でねじ伏せ、半馬身差の完勝。池添の左手が、スタンドに向けて突き上げられた。
「皆さんに感謝してます」。涙を流す池添の声は上ずっていた。昨年6月の安田記念からコンビを組んで13戦目。誰よりも、パートナーを知る自負があった。「信頼関係が大舞台でこそ大きいことを、馬主さんにも見せないと」。決意を持って臨んだ大一番。ブエナビスタをはじめ、有力馬に多数、乗り替わりがあった中、乗り続けてきた意地を見せたかった。
宝塚記念に続く、春秋グランプリ優勝。歴戦の古馬としのぎを削ってきた底力を示した。「ここで勝たなければ、今まで戦ってきた相手に申し訳ない」。戦う前から言い続けてきた山下助手も、涙が止まらない。「精神的にどっしりしたし、体が大きく見えた。ウオッカやダイワスカーレット、ディープスカイには感謝しないといけないね」。地力を高めてくれたライバルに、敬意を示した。
父ステイゴールド、母の父メジロマックイーンは、池江泰郎調教師の管理馬。有馬記念に縁がない名馬だったが、息子の泰寿調教師が見事に花を咲かせた。「マックイーン(91年2着)は、絶対に勝てると思っていたけどね…。競馬は血を残すスポーツだし、血のロマンは大切にしたい」とトレーナーは感慨深げだ。11月19日には、長男の悠喜(ゆうき)君が誕生。“池江ブランド”は、人馬ともに脈々と連なっていく。
来春のローテーションは、京都記念、大阪杯を経て、天皇賞・春、宝塚記念へ。池江師は「ステイゴールドと同じで、どんどん強くなるのを感じている」と胸を躍らせる。426キロの小柄な馬体ながら、そのたたずまいには貫禄が漂ってきた。果てない夢を乗せ、2010年も旅路は続く。
◆池添 謙一(いけぞえ・けんいち)1979年7月23日、滋賀県生まれ。30歳。98年騎手免許取得、同年3月14日に初勝利。38勝を挙げ、最多勝利新人騎手賞に輝いた。JRA通算624勝(重賞33勝)で、G1・11勝。ドリームジャーニーでの2勝のほかに、03、04年マイルCS(デュランダル)、02年桜花賞(アローキャリー)、05年宝塚記念(スイープトウショウ)、08年オークス(トールポピー)などがある。趣味はスポーツ観戦。
[優勝馬メモ]
◆性齢 牡5歳の鹿毛。
◆血統 父ステイゴールド、母オリエンタルアート(父メジロマックイーン)。ステイゴールドは、98〜00年の有馬記念に出走して〈3〉〈10〉〈7〉着。マジロマックイーンは、91年に1番人気に推されたが2着だった。
◆戦績 24戦9勝。主な勝ち鞍・06年朝日杯FS、07年神戸新聞杯、08年小倉記念、朝日CC、09年大阪杯、宝塚記念。
◆総収得賞金 優勝賞金1億8000万円を加え、7億6951万1000円。現役では、ウオッカに次ぐ2位。
◆春秋グランプリ制覇 同年に宝塚記念と有馬記念を勝ったのは、史上9頭目。過去に、63年リユウフオーレル、65年シンザン、70年スピードシンボリ、89年イナリワン、92年メジロパーマー、99年グラスワンダー、00年テイエムオペラオー、06年ディープインパクトがいる。
◆史上2位の時計 優勝タイム2分30秒0は、04年の2分29秒5(ゼンノロブロイ)に次ぐ、2番目に速いタイム。
◆最軽量馬V 馬体重は426キロ。これまでの記録71年トウメイ(430キロ)を、4キロ下回った。
◆池江泰寿調教師(40) G13勝目。すべてドリームジャーニーでのもの。
◆生産者 北海道白老町の(有)社台コーポレーション白老ファーム。
◆馬主 (有)サンデーレーシング。G1は桜花賞、オークス(ブエナビスタ)、皐月賞(アンライバルド)、宝塚記念(ドリームジャーニー)、朝日杯FS(ローズキングダム)に続き、今年6勝目。竹園正継氏の年間最多勝記録に並んだ。

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