さあ、グランプリ・ウイークだ。暮れの大一番、第54回有馬記念・G1(27日、中山)の主役を務めるのは、3歳牝馬として49年ぶりの優勝を目指すブエナビスタ。それまでの主戦・安藤勝からバトンを受けた横山典弘騎手(41)=美浦・フリー=はデビュー24年目の今年、ダービー初制覇、JRA通算2000勝、ワールド・スーパーJSで優勝するなど、2009年の顔。前3戦は勝ち星に見放された桜花賞、オークス馬をどのように勝利に導くのか。名手の手綱さばきに注目が集まる。
最高の2009年を締めくくる時が来た。ファン投票実質1位のブエナビスタで臨むグランプリ。注目の3歳牝馬が巡ってきた喜びを、横山典は静かにかみ締めた。
「いいチャンスをもらった。最後に、いい馬の手綱が回ってきたのは、うれしい限りだよ。本当に楽しみだ」
紛れもなく、横山の2009年だった。15回目の挑戦で、念願のダービーを制覇。カンパニーでは天皇賞・秋、マイルCSを制した。重賞11勝は、断然トップ。ワールド・スーパー・ジョッキーズ・シリーズ(WSJS)優勝も果たした。
「本人は意外と冷めてるもの。周りが言うほど変わっちゃいない。WSJSだって運だよ。優勝なんて、考えていなかった。今年、今年って簡単に区切られるけど、来年ダメだったら叩かれる。恐ろしい世界だよ」
表情を引き締めたが、自らのスタンスを貫き、結果を残してきた事実は変わらない。ダービー制覇のパートナー・ロジユニヴァースは、態勢が整わず有馬記念を回避したが、直後にブエナビスタ陣営から騎乗依頼が舞い込んだ。確かな手腕を見込まれてのことだ。
「頑張るよ。いつも通り、きっちりと仕事をするだけだ。中山だ、何だと言われるが、走るのは馬なんだしさ。普通に走ってくれればいい」
注目度NO1の3歳牝馬は過去3戦、1番人気で差し届かず、勝利を逃してきた。新味を期待されての新コンビ。重圧は想像に難くないが、横山は逃げることなく、真正面から受け止める。
「プレッシャーは、誰にだってある。でも、応援が力になるからね。たくさんのお客さんに来てもらって、盛り上がればいい。その中で、自分の競馬ができれば」
やるべきことは、ただひとつ。横山はブエナビスタの能力を出し切ることに、全神経を注ぐ。
「競馬は何があるか分からない。古馬の強豪が相手だし、(小回りで紛れのある)中山なんだから。でも、チャンスは大きいよ。人気は1番だろうし、みんなが納得できるような競馬をしたい」
初めて背中にまたがるグランプリ当日、名手は何を感じ、どんなレース運びを選択するのか。横山とブエナビスタの2分30秒に、日本中の熱い視線が注がれる。
◆松田博師「順調」 ブエナビスタは20日朝、滋賀・栗東トレーニングセンターの坂路で調整した。落ち着いた走りで、200メートル17秒平均のキャンター調教。名牝の風格が漂うような動きだった。「特に変わったことはない。ここまで本当に順調にきている」と松田博調教師は話した。暮れのグランプリは、横山典が騎乗するが、「どんなレースもできる馬だと思う。うまく乗ってくれるだろう」とベテランの手綱さばきに信頼を寄せた。
◆横山典の初騎乗G1制覇 98年皐月賞(セイウンスカイ)、阪神3歳牝馬S(スティンガー)、00年朝日杯3歳S(メジロベイリー)、04年天皇賞・春(イングランディーレ)
◆松田博調教師&横山典コンビのG1成績 通算【0332】。2着は、03年フェブラリーS(ビワシンセイキ)、05年菊花賞(アドマイヤジャパン)、06年菊花賞(ドリームパスポート)。
[09年の横山典]
▼2月7日 小倉で初めての重賞制覇(小倉大賞典=サンライズマックス)。
▼3月15日 中山牝馬Sをキストゥヘヴンで制し、自身初の重賞騎乗機会4連勝を果たす。
▼5月31日 ロジユニヴァースで悲願のダービー制覇。「東京の直線は、本当に長い。必死でした」
▼7月18日 史上5人目のJRA通算2000勝を達成。「スタンドの家族にパワーをもらったよ」
▼9月6日 2017勝目をマーク。増沢末夫元騎手を抜き、史上4位に。
▼9月18日 父である元騎手・横山富雄さんが病気のため死去。「これからも、いい仕事をするのが、一番喜んでくれることだと思う」
▼11月1日 8歳馬カンパニーで天皇賞・秋を優勝。「おじさん世代に力を与えることができたんじゃないかな」
▼11月22日 カンパニーのラストランとなったマイルCSを勝利で飾る。
▼12月6日 ワールド・スーパー・ジョッキーズ・シリーズで、14年ぶり2回目の優勝。「久しぶりの1位の座。最高です!!」

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