JRAの1年を締めくくるグランプリレース・第54回GI有馬記念が27日、中山競馬場2500メートル芝で開催され、池添謙一騎乗の2番人気ドリームジャーニー(牡5=池江寿厩舎)が優勝。道中は後方追走から、先に抜け出した横山典弘騎乗の1番人気ブエナビスタ(牝3=松田博厩舎)を直線大外から一気の脚で差し切った。同馬は上半期のグランプリGI宝塚記念を制しており、2006年ディープインパクト以来史上9頭目となる同一年春秋グランプリ制覇を達成。騎乗した池添、同馬を管理する池江泰寿調教師ともに有馬記念は初勝利となる。勝ちタイムは2分30秒0。
なお、1960年スターロッチ以来49年ぶりとなる3歳牝馬Vの快挙を狙ったブエナビスタは1/2馬身差及ばず無念の銀メダル。また、2着からさらに4馬身差の3着には後藤浩輝騎乗の11番人気エアシェイディ(牡8=伊藤正厩舎)が2年連続で入った。
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師走の中山を貫く乾坤一擲の末脚! 上半期を締めくくる初夏の仁川につづき、今度は1年を締めくくる大仕事。池添は人目をはばからず、馬上で男泣きに濡れていた。
「もう、うれしさしか出てこなくて……。ドリームジャーニーとは長い間、1年以上もコンビを組ませていただいて、この馬のことは僕が一番分かっているつもりでいます。負けられないと思っていましたし、勝つことだけしか頭になかった。自分にプレッシャーをかけて追い込んでもいましたから、勝てて本当にうれしいですね」
春のグランプリホースとして臨んだ前走、11月1日の天皇賞・秋は6着敗戦。ただ、これはどうしても内にササってしまう苦手の左回り東京コース。それだけに、この負けはショックを引きずるものではなく、秋の真の勝負は右回りの中山。GIジャパンカップには見向きもせず、グランプリ連覇だけを狙って渾身の仕上げを施してきた。
池江寿調教師が「宝塚が一番の出来でしたが、それに近いくらいの状態になっていました。満足いくところまで仕上げられましたね」と胸を張れば、「最高の仕上げをしてもらった。あとは自分がしっかり乗ることだけを頭において乗りました」と池添。過去最高だった宝塚記念時に匹敵する出来にあるのは、23日の最終追い切りの動きでも確認済み。この時からすでに鞍上は「秋のグランプリも絶対に勝つ!」と、強い闘志を胸のうちで燃え上がらせていたという。
スタートはダッシュがつかず、ポコンと1馬身の出遅れ。ドリームジャーニーの馬券を握り締めていたファンは肝を冷やしただろうが、池添はまったく冷静だった。
「ゲートはいつもの感じです。いつもスタートは遅い馬ですからね、いつもと同じ感じで出てくれたなって思いましたね」
気合乗りのいいドリームジャーニーにとって好走の重要ポイントは、ゲートではなく、その先。一に二にも道中の折り合いが肝心だ。いくらダッシュ良く出ることができても、馬との息が合わなかったら意味がない。道中をピタリ人馬一体となってこそ、最後の爆発力が生まれてくる。
「相手はまったく見ないで、道中は馬をなだめながら、折り合いだけ気をつけていました。リズムよく行くことができましたし、ペースが速かったら我慢して、遅かったら徐々に行こうと」
ハナを切った武豊リーチザクラウンがつくったペースは前半の1000メートル通過が58秒台の半ば。「けっこう速く流れているなと感じていました」。3コーナー手前で故障して下がってきた菊花賞馬スリーロールスと馬体がぶつかる場面もあったが、そこも「我慢してくれました」と池添。3~4コーナーでは勢い良く上がっていくマツリダゴッホ、フォゲッタブルを前方に見据え、内ラチ沿いのブエナビスタも視界の中に入っていた。
「仕掛けどころだけは間違えないように」
目標をキッチリ捕らえ、大外進出からあとは辛抱してタメにタメた、父ステイゴールドから受け継ぐ“黄金の脚”を爆発させるだけ。うなるような手応えで最後の直線に向くと、ゴールへと続く道にはブエナビスタだけが見えていた。
「直線に向いた時には、もうこの馬(ブエナビスタ)との勝負だなと思いましたね。しまいは絶対に伸びてくれると信じていましたし、絶対にかわせると思いました」
炸裂させた上がり3F35秒2は、ブエナビスタを0秒6上回るメンバー最速タイム。いち早く抜け出した本命馬を外から豪快に斬り捨てる姿は、ディープスカイをほふった宝塚記念の再現VTRを見ているよう。
「ドリームジャーニーが一番頑張ってくれた。本当に感謝しています」
6月に続き、今回もまた、文句なしのグランプリ連覇だった。
「91年のメジロマックイーンは絶対に勝てると思っていたのに、勝てなかったですからね。競馬というのは血のドラマで、僕はそのあたりをすごく大切にしています。お父さんのステイゴールドの分も含めて、有馬を勝てなかった悔しさを取り返せたと思いますね」
喜びを噛みしめながら語ったのは池江寿調教師。父である池江泰郎調教師が手がけたメジロマックイーン、そして父のもと調教助手としてステイゴールドで有馬記念に挑戦してきたが、あと一歩のところで勝つことはできなかった。
特に日々、調教をつけていたステイゴールドには思い入れが強く、自身にゆかりの深い2頭の血を受け継ぐドリームジャーニーで日本競馬界最大のレースを勝てたことは、この上ない喜びだろう。
「ステイゴールドは年齢を重ねるにつれて、どんどん強くなっていきました。ドリームジャーニーも似たような課程を踏んでいますし、来年はもっと強いジャーニーを見せたいですね」
今のところ、来年の春は4走を予定しており、目標はGI天皇賞・春、そしてGI宝塚記念連覇においている。
06年の2歳王者が3年の月日を経て、真のキングへと成長を遂げた。そして、これが終着点ではなく、今からが競走馬としてのピークを迎えるのだろう。来たる2010年、しばしの休息をとった後、ドリームジャーニーは王者の旅程を堂々と歩んでいく。

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