新馬、東京スポーツ杯2歳Sを連勝。無傷の2歳王者を狙うローズキングダムは、“バラ一族”期待の新星だ。この血統を数多く手がける橋口弘次郎調教師(64)の夢は、まだない一族のG1勝利。トレーナーと固いきずなで結ばれている主戦・小牧太騎手(42)のJRA重賞初勝利も、母ローズバドだった。2人はスクラムを組んで、まっしぐらに来春のダービーへ押し進む。
夢は果てしなく、広がっている。「ダービーに行きたいんよ。この馬でね」。小牧は期待を隠すことなく、ローズキングダムへの思いを切り出した。新馬戦で退けたヴィクトワールピサは、その後2連勝。東京スポーツ杯2歳Sでは、2戦2勝のトーセンファントムを抑え込んだ。強豪相手に勝ち進んできただけに、気持ちは自然と高まる。
重賞初制覇となった前走は、トーセンファントムとの長い叩き合いを制した。「相手にスッと並びかけられた時は、『あかん』と思ったけど、そこからがしぶとかった。無駄肉がなく、均整の取れた馬体をしているし、乗り味も気持ちがいい。気性がうるさい面はあるけど、レースに行くとおとなしい。ゲートもいいからね」と小牧。欠点が極めて少なく、総合力が高いのが、最大の魅力だ。
高い素質は、橋口調教師も感じている。「完成度が高く、いい根性がある」。当初は、デイリー杯2歳Sを勝ったリディルで臨むはずだったが、骨折で戦線を離脱。入れ替わるように、台頭してきた。「長い距離で、と思っていたが、東スポ杯を勝ってG1に堂々と行ける立場になった。脚質的にも、好位を取っていける馬。中山のマイルでも問題ない」と参戦を決めた。
固いきずなを誇る「橋口―小牧」ラインにとって、朝日杯FSは因縁のレースと言える。04年、地方・兵庫から移籍した小牧は、橋口厩舎のペールギュントで参戦。単勝3・5倍の1番人気に推されたが、後方待機から前を捕まえ切れず3着に敗れた。以後、小牧はG1で苦戦が続く。G1初制覇は、08年桜花賞(レジネッタ)まで、時間を要することになった。
「(G1での苦戦は)あれから始まったね。朝日杯は、自分なりに開き直って乗ったんやけど…。その後ずっと、結果を出さないと…とばかり思っていた」と小牧。苦しい時期もあったが、昨年は重賞5勝をマークし、今年は7勝。勝負強さが戻ってきた。橋口調教師は「レジネッタから変わった。迷いがなくなり、自信を持って乗っている。今は安心して任せられる」と目を細める。
5年越しの雪辱をかけて臨む一戦。小牧は静かに闘志を燃やす。「(ペールギュントが2着だった)東スポ杯は、やり返したからね。本番でもそういきたい。お世話になっている橋口先生の馬で、ダービーを勝てたらうれしいよ。距離は持つと思うし、それくらいの馬だと思うから…」。朝日杯の呪縛(じゅばく)を解いた時、夢は現実となって、2010年を走り出す。

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